買い物が終わってからマンションへ帰ると、忍は何も言わずに夕食を作り出した。
透はなんか悪い気がして、忍に気にしなくてもいいから…と声をかけた。


「気にしなくてもいいって、私が作らないと誰が作るのよ?」

「あ〜、いや、誰も作らないけど…。」

透は何も反論できなかった。
確かに今までもコンビニ弁当や外食しかしていない。

「別にあんた達の為じゃないんだからね!!私たちが食べるついでなんだから、勘違いしないでよね!?」

忍は手際よく調理しながら透に言った。

「う…そうか、ありがとう。」

透が何も言えないでいると、様子を見ていた彩音が話しかけてきた。

「にしし〜!しーちゃん照れてるだけだよぉ。昨日お兄ちゃん達に褒められたから嬉しかったって言ってたもん。」

彩音の言葉に忍はビクッとして振り返った。

「彩音!!」

「ひゃあ〜怒られる。あははは。」

彩音はツインテールの頭を押さえながら逃げて行った。

透はその姿を見た後、忍に本当か?と聞いた。

「知らないわよ!バカ!」

そう言って向こうを向いてしまった忍の耳が赤くなってるのを見て、透はクスリと小さく笑った。