忍は少し遅れて来たが、話の後半だけは聞こえたらしい。
缶を捨てた沙綺に話しかけた。

「ちょっと、変な事言ってないでしょうね!?」

沙綺は一瞬何の話か分からずに、片方の眉を上げたが、透の顔を見てにやけた。

「別に変な事言ってないぜ?なぁ、神楽!」

いきなり振られた透は、ああ、特に…と答えた。

「忍はお気に入りのクマさんのぬいぐるみを抱かないと寝れないって教えただけさ!あはは。」

それを聞いた忍は、顔を真っ赤にして一瞬透を睨みつけると、ほっぺたを膨らませて沙綺の急所に蹴りを入れた。


コキーーーン


「バカ沙綺!知らない!彩音行こ!」

床に崩れ落ちる沙綺を無視して、忍は足早に去っていった…。

「沙綺…お前も懲りない奴だな…。」

透は哀れみの眼差しを沙綺に送った。