神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

午後

透と沙綺は彩音と忍を連れて買い物に出かけた。
さすがに何もない部屋だったので、女の子二人分の物を買うと荷物が悲惨なほど多くなった。

透達はさんざん連れ回された上、荷物持ちをさせられた。

「おい忍…もう勘弁してくれぇ。」

沙綺が両手一杯に買い物袋を下げて泣きべそをかいた。
理由は単純、まだ買い物が続いているからだ。

「何よ？情けない声出して。たまには体鍛えなさい。」

忍はワゴンセールの安売り商品を適当に手に取りながら沙綺に言った。

「神楽も何か言ってくれよ。お前もいっぱいいっぱいじゃねーか！」

沙綺は透に助け船を求めた。
そして何故か沙綺よりも体が細い透の方が多くの荷物を持たされていた。

「…俺らの要求があっさり通るなら言うさ。」

透は既に諦めていた。

目の前で双子の美少女達が、楽しそうに買い物しているのを見ていて飽きなかったからだ。

「お兄ちゃん大丈夫？重い？彩音も持つよぅ。」

彩音が荷物を持つと言ってくれた。
だが、透は柔らかく断った。

「大丈夫だ、気にしないでいい。俺達は向こうのベンチに座っているから、終わったら来てくれ。」

そして透は、沙綺を誘ってベンチへ向かった。