神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

「ぜ、善次郎…良くここが分かったねえ。相変わらず素早いことで…はは。」


幹矢は後ろに後ずさりながら善次郎(ぜんじろう)と言われる男から逃げ出そうとしていた。

しかし、ズイズイとにじり寄られて壁際まで追い込まれてしまった。


善次郎は幹矢の前に正座で座ると、さらににじり寄りながら叫んだ。



「この善次郎の情報力を舐めないでいただきたい若の隠れる場所なぞ、どこにもありませぬぞ」


「分かったから!そんなに近寄らなくてもいいだろう!!離れろ善次郎!」

幹矢は善次郎の顔を両手で離そうと必死にもがいた!


2人の男達がバタバタ暴れる中、一人冷静に白蓮が制止の声を上げた。


「何を暴れておるんじゃ、ここには寝てる者も居るんじゃぞ?騒ぐなら…隔離するわえ?」


柔らかに話す中にも圧倒的な威圧感を感じて、幹矢達はピタリと止まった。