神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

「はぁ、せっかちな奴…私が間に合わなきゃ計画の意味無いじゃない。神楽達が間に合ったらどうする気よ…。」


鴉天狗が打ち破った結界を優雅に通過した刹那は、飛び去り行く影に向かってため息をついた。


「あの様子じゃ、白蓮の屋敷にたどり着くのは時間の問題ね…私も急がなきゃ。」


先日情報を集めていた刹那は、透達が向かう経路は概ね把握していた。

そして透達の霊圧の移動に注意しながら、刹那は先を急いだ。


   ビュゥゥゥウ〜



「夏の夜に…凍てつく夢を…。」


刹那の背後から季節外れの吹雪が吹き荒れ、刹那の体を包み込むと、その場所から消え去った。