神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

透は倒れたまま顔を後ろに向けると、先ほどまで離れてた着物の少女が、すぐ背後に迫っていたのだ！

少女の額には先ほど男が投げつけた紙切れが貼りついつており、全身が炎に包まれていた！
そして、少女は先程とはまるで違う顔つきをしていた！

爪は長く伸び、髪を振り乱した状態で、表情は断末魔を上げる猫のような顔になっている！

一通り暴れた後、着物を残して少女はサラサラと風に舞う灰になってしまった……。

透は何が起こったのか全く分からないまま地面に倒れていた。

「な!?何なんだ一体!?あの子はどうしたんだ…？」

先程までそこにいたはずの少女の焼け残った着物を見つめながら透は汗をにじませていた…。

「よう、いきなりビビらしちまって悪かったな。」

透は声をかけられた方を向くと、先程の男が手を差し伸べているのが見えた。
掴まれという意味らしい。

透はその手を掴むと、その場に立ち上がった。