神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

その少女は鞠を見つけると、こちらに駆け寄ってきた。

すでに外は暗いため、近くに来てからやっと顔立ちが分かった。

紙は少し長めのおかっぱ頭、遠くから見て思った通りの女の子だった。

女の子は一緒に遊ぼうと、透を誘った。

透は特にすることもないので、遊んでみようと思った。
女の子に近づいていこうとした時、別の方向から殺気が近づくのを感じた!

透は身体ごとその方向を向くと、一台のアメリカンバイクが停車する所だった。

バイクから降りてきたのは黒い皮パンに白のランニングシャツの、スリムで筋肉質な長身の男だった。
ヘルメットを取ると茶色い長髪が風に揺れた。

男は透の方に向かって歩きながら言った。

「こんな所にいやがったか!手間掛けさせやがって!今すぐブチ殺してやる!!」

そう言うとポケットから紙切れを何枚か出した。

何かは分からなかったが透は反射的に身構えた。

男はその紙を投げつけると同時に透へと叫んだ!

「そこの男!伏せろ!!」

それは明らかに透に向けて放たれたものであり、透は紙から避けるように地面に倒れ込んだ!

ギニ゛ャャァァアア゛!!
透の直ぐ背後からけたたましい叫び声が聞こえた!