一方その頃、透は町外れの神社に来ていた。

その神社はあまり人が訪れた形跡も、また管理している者も居ないような小さな神社だった。

透はそこを今日の宿泊地として選んだ。
境内に腰を掛けると、コンビニで買ったサンドイッチを口に放り投げた。

透は人の多い所を極力嫌う性格をしていた。
それは一般人との関わりのない隠れ里に居たためであり、一般人との接し方がどんなものか透には分からなかったからだ。

透はサンドイッチを食べ終わると境内に横になった。
所々色が剥げて、破損した天井を見上げて呟いた…。

「今はまだ、それほど夜も冷えないが、早めに暖がとれる場所を探さないとな…。」

透が物思いに耽っていると、足にコツンと何かが当たる感覚があった。

透は体を起こして見てみると、小さな鞠が転がっていた。

少し疑問に思って顔を上げると、少し先に着物を身につけた少女が居た。