神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

    ビシュッ


どこからともなく飛来した真空の旋風に、命の左頬が切られた!

頬を伝って落ちる一筋の赤い血を、そっと指で撫でると命は顔を上げた。


「あらあら、乙女の肌に傷を付けるなんて最低よ?遊んであげるから出てらっしゃいな。」


「上から目線でしゃべんじゃねえ」


ザザザザザザッダン

木陰から一気に駆け出してきた鎌鼬は、全速力で命の周囲を移動した!
普通の人間には全く見えず、月読ですらやっと目で追える位の俊足の中、命はゆったりとしたまま歌を歌っていた…。


「かぁーごめ、かーごーめ、かーごのなーかのとーりぃは…。」


「えらく余裕だな歌い終える前に殺してやるよ」


そう叫んで鎌鼬は、歌い続ける命を無視して攻撃を開始した!