「悩んでいても仕方がない、とりあえず北山の方へ向かって街へ出よう。後は帰ってからだ。」


手当を終えた月読が立ち上がって言った。少し傷が痛むのか顔が少し険しい。


「その腕じゃ荷物は持てないな…猫に戻って俺に乗ってていいぞ?猫一匹ならあまり変わらないからな。」


透は下に置いた荷物を抱えながら、顔だけ月読に向けた。
忍と彩音も手早く荷物をかき集めた。


「そうか、すまんな小僧。」


月読は猫の姿に戻ると、前足をヒョコヒョコさせながら透に近づいていった。
そして肩に飛び乗ると、先ほどと同じように頭の後ろに張り付いた。


「よし、じゃあタクシー拾える所まで向かうか!」


「そうね。さすがに歩いて戻る気力はないわ。」

忍はため息混じりにそう呟いた。