神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

「ちょっと待ってくれ!今、月読のコピーをしてるのはすごい集中力がいるんだ!このままやるのは厳しい。」

透は尻尾をピンと立たせて月読に訴えた。


月読は腕を組んだまま、自分と同じ格好の透に言い放った。


「ワシと同じ顔で泣き言を言うな!!その位こなさんで何が訓練だ!立て小僧!」


「はぁ、まじかよ…。」

透はノロノロ立ち上がると、袴についた砂を払った。


「確か小僧は炎に命を与えると言ったな?」


月読は午前中の透が話した内容を復唱した。

「?ああ、そう感じたが何かあるのか?」

透は月読を見つめて聞いた。


「小僧にはそう見えたかもしれんが、実は違うのだ。あれは炎の中から呼び出す妖狐…召喚士が言う召喚獣と変わらんのだ。」

透は月読の次の言葉を静かに待った。