神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

そう言って透はため息をついた。


「しかし、自分で出来ることはやりたいんだ!
俺はしばらく御館様の所に住み込んで修行する。
せめて御影さんの代わりになるくらいになってみせるさ!
何かあれば式神で呼ぶから、忍達を頼む。」


「…ああ、お前がそうしたいなら止めはしないさ。
俺もやれることはやってみるよ。」



そう言って沙綺と握手をした透は、二人で屋敷に向かって歩きだした。



そして、数10分後…。



沙綺を見送った後、透がマンションに向かって帰ってる途中に、ある人に出会った。



その人物は、以前透が化け猫に襲われた無人寺の階段に腰掛けて、歌を歌っていた。


「かぁ〜ごめ、かぁ〜ご〜め、かぁ〜ごのなぁ〜かのと〜りぃ〜は…。」

透は余りに美しい歌声と容姿に、ついつい足を止めて見入ってしまった。

その視線に気がついた人物は、透に向かって妖艶な微笑みを向けた。


「フフフ…どうしたの坊や?そんなに見つめられたら照れちゃうわ。」


透の見つめる先にいたのは、長い髪を風に漂わせた花魁の様な人物だった。