神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

「当然だ。白蓮様にはまだ恩返しが済んでないからな。
奴らに一泡吹かせてやるさ。」

透は明るく笑って返した。


「ははっ!頼もしいぜ!
そうだ、俺達もなまらないように修行しないか?」

それを聞いた透は不思議そうな顔をした。


「お前にも修行なんて必要なのか?
十分符術士としての腕はあるじゃないか。」


「いや、俺なんかまだまだ御影さんの足下にもおよばねぇよ。
あの人が居たからぬえの撃退が出来たようなもんだ。もし居たのが俺なら…。」

そう言って沙綺は悔しそうに顔をしかめた。


「しかし、俺と沙綺が修行なんてどうすりゃいいんだ?」


透は立ち止まって沙綺に聞いた。


「…………。やっぱ無理か。」


「なんだそりゃ!」


「お互いに戦ったとしても、俺の呪符には加減が出来ないからな。
しかも、あんたの一撃まともに食らったら痛いし。」


「痛いしじゃないだろ!
…はぁ、確かに下手な事して怪我したくはないのはお互い様か。」