神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

「一般人には妖は見えない、でも奴らには狙われる…。
俺たちが守らなくちゃ誰が守るんだよ?
さぁ、ボチボチ帰るぞ。」

沙綺はそう言うと透に背を向けて歩きだした。


「ああ、沙綺の言う通りだな。
俺達にしか出来ないこと…誰にも気づかれない破魔の業か。」

透もそう呟くと沙綺の後を追った。



透が追いつくのを待って沙綺が言った。


「一応今張った呪符結界は範囲が広い、足止めにもならないが、何かがあればすぐに探知することが可能だ。
その時は真っ先に白蓮様の元へ行く。
御影さんが居ない今、俺達が代行だ。」


透は決意を固めた沙綺の横顔を見て答えた。


「しかし、四人とも向かったら誰が退魔に行くんだ?
防戦は危険度が上がるぞ?」


「そうだな、その時は白蓮様の指示で攻勢に別れるかもしれねぇ…覚悟だけはしといてくれ。」


沙綺は透を見つめてはっきりと言った。