神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

「…なぁ、そう思わないか？」

「…………。」

「やっぱりこの辺りによ〜…。」

「…………。」




バシッ



「いだっ何すんだよ沙綺！」


「何すんだじゃねーよ！さっきからボーッとしやがって！」


沙綺と透は、ぬえの急襲を防ぐべく、この街一帯に簡単な結界を兼ねた緊急警報用の呪符を設置しているところだった。


その作業をしている間ずっとぼんやりとしていた透に、沙綺が後ろからチョップを入れたのだった。

「あ…すまん。大したことは考えてなかったんだが。」

「ちったぁ気を張ってないと、いつ来るか分かんないんだぜ!?もう戦力はあまり居ないんだ、頼むぜ全く。」

そう言って沙綺は、大体作業の終わった周囲を見渡した。

「この高台から見える街は平和なもんだな…。」

透も今居る高台から下に広がる街を見てそう言った。