一方その頃、白蓮の屋敷では、別の妖ではあったが透達の胸騒ぎが的中していた。





「よぅ来たのぅ。久しぶりと言った方がよいかな？…鵺よ。」

白蓮達、退魔士一同が見上げる庭の上空に、夜の闇にとけ込むような黒い服を着た男が浮いていた。

「お久しぶりですね…白蓮。」

にやにやした口から出た言葉は、低いがよく通る挨拶だった。

「お主が結界を越えてここまで来るなんてのぅ。
一体何の用じゃ？20年前の決着をつけにきたか？」

鵺は夜風に黒服をなびかせながら言った。

「ｸｯｸｯｸ…そんなものに固執したりはしませんよ。
単純な話です、最後に残った退魔士の本部を潰しに来ただけですよ。」

それを聞いて白蓮は笑った。

「ほほほほ。まさかお主、単身で乗り込んできてこの白蓮を楽に殺せるとでも思ったのかぇ？」

鵺はにやにやした表情を変えることなく言った。

「それはどうでしょう？」

その言葉が合図となって、数体の妖が庭や屋根の上、そして鵺の横に現れた！