「っていうか私じゃなくて市川さんにあげればよかったのに。」 そんな嫌味に山口くんは笑った。 「冗談きつ。」 「彼女は?いないの?」 「いないよ。冬に別れた。」 何でもないことのように答えた彼はストラップの鈴を鳴らして遊んでいる。 「冬って…私と一緒…?」 「しかも同じ日。」 言葉が出なかった。 そんな偶然があるなんて。 「どうしてふったの?」 「なんでふったってわかったの?」 彼は笑いながらわざとその質問で返してきた。 「“別れた”って表現だから!」 思わず私も笑ってしまう。