「ありがとう。」 私は何回この言葉を彼に伝えただろう。 ゆっくりと体を離す。 「チョコ食べてもいい?」 山口くんは返事を待たずに包装紙を開け始めた。 「よく今日だって知ってたね?」 「え?だって今日が誕生日だって言ってたから…。」 「そっちじゃなくて。大学の合格発表。」 「へ?」 「“へ?”」 お互いの動きが止まる。 「今日…だったの?」 「うん。受かってた…。」 一瞬の間。 「「ぷっ…!!」」 私たちは二人で同時に吹き出した。