それはただの気まぐれ。 それはただの社交辞令。 ただの…同情。 だけど私にはすごく甘美に胸に響いた。 ーお誕生日おめでとうー その一言がこんなにも嬉しいなんて。 山口くんは優し過ぎる。 “これからは”なんて言われたら未来を想像してしまう。 バカみたいに期待してしまう。 私はそれを勘違いしないように心を押さえつけた。 だけど、 「神崎さん!?やっぱり迷惑だった!?」 髪が乱れるほど首を横に振る。 「ありがと…。」 私の涙が一滴、チョコレートケーキに落ちた。