そして それは 12歳の時に起こった。 義父との生活を始めてから5年が経っていた。 私は殴られることにも罵られることにも慣れ始めていた。 じっと我慢してやり過ごせばいいのだ。 子供の私には何もできないのだから。 その日は母の帰りが遅かった。 私はどうしても母に会いたくてソファでウトウトしながらその帰りを待っていた。 気づいた時には眠り込んでしまっていて、誰かが私に触れる感覚がして目を開けた。 「お母さん?」