しばらくすると義父は決まって私をベランダに出した。
真夏でも真冬でも関係ない。
私は裸足のまま夜空を見上げる。
窓の向こうからは時々母の泣くような声が聞こえた。
きっと母は私よりも辛い目に合ってるんだ。
だったら私も我慢しないといけないんだ。
汗を拭いながら、寒さに震えながら、そう自分に言い聞かせる日々が続いた。
それは10歳の時だった。
義父はいつものように私を殴り、母に愛を囁き、私をベランダに追いやった。
だけどその日はカーテンが少し開いていて部屋の様子が伺えた。
私がそのことに気づいたのは外に出されて何分も経った頃だった。
母の叫ぶような声がして思わず中を見た。


