一部屋しかない狭いアパートで新しい生活が始まった。
楽しかったのは最初だけだった。
この生活に慣れてきた頃、義父は私に対して暴力を振るうようになった。
酒を飲んでは私に手を上げる。
私は泣き叫びながら母に助けを求めた。
だけど母は何もしてくれなかった。
台所に立って私に背を向ける。
そして義父は私を散々殴った後、母を自分の元へ呼ぶ。
母と並んでソファに座り、母の頭を優しく撫でながらこう言うのだ。
「愛してる。」
私を殴ったその手で母の頭を撫で、私を罵ったその口で“愛してる”と囁く。
私は起き上がる気力もなく床に寝そべったままその光景を見ていた。


