プラス…







渡辺ははっとした顔をして立ちあがる。



「いけない!ダメだ!…なんということを…

Kくんを止めなきゃ!!」



渡辺はそう思うが自分は今壁に囲まれた
部屋の中に閉じ込められている。



渡辺はどうすることもできない自分に
とても腹が立った。


壁を叩いて暴れても
その気持ちは晴れなかった。



「ダメだ!ダメだ!だって
そんなことしたら


まさに悲劇じゃないか!



ダメだ…ダメだ…」




渡辺は暗い部屋で何度も同じ言葉を繰り返すが
それはむなしく響き渡るだけだった。



悲劇の日まであと一カ月…