ドアを出るとそこは真っ暗な廊下。


針一本落ちる音も響きそう。


渡辺はゆっくり
ゆっくりと歩を進める。


もしあの屈強な男たちに出会ってしまったら
今までの苦労は水の泡。


鍵を取り上げられ
再びあの部屋に叩きこまれてしまうだろう。


いや…
永遠にここから出られない運命が
待ち受けているかもしれない。


渡辺の全身に緊張が走る。
手のひら、首筋、脇の下

至る所からいやな汗がにじみ出てくる。