「・・・・ッ」


お互いに、はっと目を開け赤面する。

圭太は顔を背けながらポケットの中の携帯を探った。

ディスプレイには"神山慎二"と出ている。


「はい・・・慎二?」

「あぁ、俺だけど。
結構人数集まってきたから、そろそろ戻って来いよ」


わかった、と言って電話を切り、一弥の方に向き直った。


「そろそろ戻って来いだってさ。
お前目赤いぞ、ちゃんと顔洗えよ。」

「はい・・・」

「行くぞ」



圭太の方が先に立ち上がり、一弥に右手を差し出した。
それを見ると、一弥は笑顔でその手に左手を重ねる。

お互いにぎゅっと握りあい、圭太が思いきり引っ張って一弥を立ち上がらせ、
そのまま二人で階段へ走っていく。

階段を降りきるまで、二人は決して手を離さなかった。