「隙を見せるてめぇが悪いんだろ」

「おまえの先制攻撃をそう簡単に避けれるわけないだろ・・・って、そういやついさっき避けられてたか」

 最後に小さい声で呟いた相馬をギロリと睨みつける。


 あの場面で声を掛けてきたのだから、相馬が俺とあいつの攻防を見ていたのはわかっていたし、あれは完璧に相手の力量を測れなかった俺がいけなかったのだから何を言われても文句は言えないが、それでも自分の失態を正面から言われるとムカついてくる。


「すげぇよな。あれ完璧に見切ってただろ?あのノッポの奴。おまえの最初の攻撃がかわされるとこなんて始めて見たよ」

「俺だって初めてだよ。小さい頃ならともかく最近はおもしろいくらいにきまってたからな」

「今だって充分・・・」

「小さい言ったらもう一回殴るぞ」

「・・・・・ゴホン。まぁ、なんだ。たまにはそういうこともあるよな、うん」

(早々あってたまるかよ)


 今思い返してみても、奴にした攻撃は絶対不意打ちだったはずだ。

 自慢じゃないが、俺はけっこう喧嘩が強い。

 この外見のせいか俺に突っかかってくる奴は非常に多く、修羅場もそれなりに潜り抜けてきた。

 人より劣る体つきだから俺はいつもスピード重視でやっていたが、相手も見た目から判断しているせいで俺とやるときはいつも始めは油断している。

 だからこそ、先制攻撃で勝利が決まるのが大半だった。
 まして今回はそれに加え、奴に戦う気がなかったのだから俺の攻撃が決まっていてもおかしくない。というか、決まらないほうがおかしい。