だけどその反面、家庭内暴力は最悪


そんな父さんを母さんは嫌っていた


だけど父さんは僕にとって憧れで、先生でもあったんだ


暴力は我慢すれば終わるし、ピアノをひく父さんはまるで蝶


ヒラヒラと乱舞し、誰もを魅了する



母さんは再婚するので父さんにはもう会えないだろう


僕は父さんを思い出の中に沈める



「そ…そう言えば、母さんの再婚相手にはあなたより三つ下の娘さんがいたわ!
仲良くしなさいよ。」


「…名前は?」


「たしか……………真愛【マナ】…。」




真愛


その時君の名前が、僕の鼓動と不適切なリズムを刻んだ


―不協和音―


この時の僕は、彼女に恋するなんて想像もしなかった