兄貴は、窓際に立ち紙コップを静かに回し外を見ていた。
【………………】
俺は兄貴の背中を見て口を開いた。
「…兄貴…俺に話があるんじゃないのか……」
「……………」
兄貴は、俺を見て眉間にシワをよせ俺から眼をそらした。
「…別にない…勉強無理するなよ」
「……………」
兄貴は飲みかけのコーヒーをテーブルに置くと部屋を出ていった。
「……なんでだよ……なんで言わないんだよ!!」
俺は、兄貴が置いていったコーヒーを投げた。
「……苦しいよ……千冬……お前は、すぐ傍に居るのに……」
「浩介とランチなんて久しぶり!しかも忙しい浩介が休みなんて!」
「あぁ本当だな!患者の人気がなくなった証拠かな」
「何言ってんのよ!患者の間では優しくてカッコイイ先生って評判よ」
千冬は微笑みながら言ってくれた。
「…千冬もその一人に入ってるのか?」
「えっ?」
【!!】
浩介の指先が、私の唇に触れた。
「ケチャップ…ついてる」
「…あっ…ありがとう」
「…少し意地悪な質問だったかな…」

