二人で一人〜永遠に

「どうぞ」



ノックをした扉の向こうで、浩介は返事をした。



「こんにちは」



「おーっ!千冬」



浩介の足音は、私へと近づいてきた。



「今日 陵君が迎えに来れなかったでしょう だから私一人で歩いてきたの」




私は、少し自慢気に浩介に話した。




「歩いてって!…自宅から歩いて来たのか!?」




「うん!車の音や急に後から自転車のベル鳴らされ怖かったけど自分なりに頑張ってみたんだ!」




【!!】



浩介は、急に私を抱きしめた。



「…浩介?…」




「…千冬は十分頑張っているよ…」



そう言って浩介は、私から離れ私の頭を撫でた。



「…ありがとう」










俺は、兄貴が千冬を愛しい眼で見つめ抱きしめる瞬間を見て、俺は静かに扉を閉めた。




「…兄貴…まだ千冬を…」




病院の屋上のベンチに横になり真っ青な空を眺めながら、俺は昔の事を思い出していた。




あれは、俺と千冬の高校の卒業式の後だった。




『千冬!』



俺と千冬が、記念写真を正門の前で撮ろうとした時、兄貴は俺じゃなく千冬を呼んだ。