【…琉汰…元気にしてる?最近私は、太陽の暖かさで今日は、晴れてる…曇ってるって分かるようになったよ……やっと少し、この生活に慣れてきました……琉汰、私…】


〔ガチャッ!!〕

【!!】

「千冬、どうしたの?ノックしても返事がなかったから」

「お母さん…何でもない」


「朝食できたわよ」

「うん、わかった」

【……琉汰…私……】








俺は、いつもの様に夕方、千冬を家の前まで送った。


「ありがとう、また明日」


千冬は、そう言って玄関を開けようとした。


【!!】

俺は、千冬の手首を握った。

「…陵君」

千冬は、驚いた顔して振り向いた。

俺は、千冬の指を握り点字を流した。

【『…少し…散歩しないか…』】

私は、点字を読み頷いた。



俺と千冬は、薔薇の香りが凪がれる公園に来た。


「…ここの公園…」

俺の隣で、千冬は静かに口を開いた。


「…なんだか懐かしい…そんなに時間は、経ってないのに…懐かしく思えるなんて…」


【…千冬…】

俺は、千冬の耳元で鈴を鳴らした。

「…何?」

陵君が握る私の指は、点字を読んだ。