陵君が、私の頬を触れ、涙を拭いた。
【…千冬、これでいいんだよ…】
俺は、千冬の心の変化に気付いた。
【千冬が、陵と言う人間を求めているなら…俺は、この先ずっと、陵で生きていくよ…】
〔コンコンッ!〕
「…兄貴、ちょっといいかな」
俺は、兄貴の部屋をノックした。
「…おう、どうした?」
ドアを開けた、兄貴は少し驚いていた。
俺は、兄貴のベッドに座り、話始めた。
「…千冬…恋してるんだ…」
「はっ?!…恋って…」
「だから、恋だよ!恋!新しい恋が、始まったんだ…」
俺は、精一杯の笑顔を兄貴に向けた。
「…お前…」
兄貴は、呆然と俺を見ていた。
「…千冬は…陵に恋をした…千冬の心の中には、もう…俺は…いない…」
俺は、仰向けになり腕で目を隠した。
「…千冬が、何か言ったのか」
「…いや、何も…でも分かるんだ…ずっと傍に居たから、俺は…」
「琉汰…」
「兄貴が、言ったように俺は、陵で生きていく…苦しくても…千冬が、幸せなら…それで俺は、いい…」
手探りで私は、部屋の窓を開けた。
「…今日も晴れてる」

