二人で一人〜永遠に

浩介の手を借りて、病院に向かった。

兄貴の腕に掴まりながら千冬は、ゆっくりと椅子に座った。


「…浩介、あの人は?」


「…来てるよ、千冬の前に座ってる」

「………」

私は、軽く頭を下げた。


「じゃー改めて、彼の自己紹介を…」

「待って…」

「千冬?…」

「私から、自己紹介してもいいかな…」

俺は、兄貴を見て頷いた。

「…あぁ、いいよ」

「ありがとう……、もう浩介から聞いて知っているかもしれませんが私は…結婚式、当日事故で目を失いました…」

【千冬…】

「…愛する人の元へ辿り着くことが、出来なかった……彼は、私を支えると言ってくれたけど私は、拒んだ…そして彼は、前に進んで歩き出した…今は、別々の道を歩き始めたけど、私は今も彼と歩いていると感じてます……」

【俺は、千冬と同じ道を歩き始めるよ…隣で…】

「今日から、貴方に助けてもらいながら、私は歩き始める事を決めました…宜しくお願いします……ごめんなさい、自己紹介って言っていたのに、こんな話で……」

俺は、唇を噛み締めた。

【…!?】

「あっ…」

私の手に、温かいぬくもりを感じた。