私の返事も聞かずに浩介は、部屋を出ていった。

部屋に残された私は、時計の針の音を聞きながら、琉汰を思い出してた。

【琉汰も一方的なところが有ったな…私達が付き合ったのも…】

〔ガチャッ!!〕

【!!】

「千冬…連れてきたから……入れよ…」

私は、浩介の言葉を頷き耳をすました。

〔…ドックンッ…ドックンッ…〕

耳をすますと私の心臓の音が邪魔をした…。

〔ドックンッ…ドックンッ…リッ…ドックンッ…〕


【………】

私は、心臓の音に紛れて何かの音を聞いたような気がした。

「…ここに座って」

浩介は、低い声で言った。


椅子を引いた音がした。


〔……リンッ…〕

【!?……この音…】

「千冬?…今千冬の目の前にさっき話した人が居る…」

浩介は静かに言った。

「………」

私は黙って頷いた。

「千冬?彼は…」

【男!!】

「ちょっと待って!彼って…男の人?…」

浩介は、少し間をあけて口を開いた。

「…あぁ…」

「…ごめんなさい!」

〔ガタッ!!〕

私は椅子から立ち上がり、壁に手をあてた。

「千冬!ちょっと待ってくれ!」