「…お母さん…」
「何?」
「…天気…今日の天気は、どう?…」
「晴れてるわ…」
「…そう…紅葉…山下公園…黄色のジュウタンで一杯になってるのかな…」
「…そうね…」
私は、去年の今頃を思い出していた。
『琉汰!見て!凄い綺麗!!』
『おぉー!すげぇーなっ!…って感じでいい?』
『はっ?!…』
『だって俺、千冬みたいに凄い綺麗ー!までいかないんだよね!』
琉汰は、ふざけながら私に言った。
〔バンッ!〕
『痛っ!何すんだよ!』
私は、琉汰を叩いた。
『…最低!綺麗な物や景色を見て感動する事は無いわけ!?』
『……余り!』
『もういい!!』
私は、琉汰をおいて公園通りを歩きだした。
『…おい!待てよ!悪かったよ!』
私は、琉汰の問い掛けに無視していた。
『よーし!無視なら!…』
後ろで琉汰の声が聞こえなくなった。
『………』
私は、立ち止まり後ろを振り返った。
『……琉汰?』
琉汰の姿が消えていた。
黄色の銀杏のジュウタンが私の前に綺麗にひかれていた。
『……汰…』
私はなぜか、この世で独りぼっちになってしまった様に感じた。

