俺は、静まり返った病院に戻り、薄暗い廊下を歩き千冬が居る病室の扉を開けようとした。
「…恐いの!本当は一人になるのが恐いよ…」
【…千冬の声!】
俺は扉から手を離し、その場に立っていた。
――「…ならなんで!その事を、琉汰に言わない!?琉汰は、千冬と離れたくない!別れたくないって、本気で心底から言ってるんだ!!」
私は、左肩に手を置く浩介の手を退かした。
「………」
「…千冬…」
「…一生…私の面倒をみて琉汰の人生が終わるなんて…嫌なの…いつか後悔するときが必ずくる…俺の人生なんだったんだって感じてしまう時がくる…その時に、私を恨んだりされるのが、嫌なのよ…」
「そんな事、琉汰が思うはずがないだろ!!」
「人間は、嘘をつく動物でもあるし…裏切る動物でもあるのよ…」
「………」
「…琉汰とは、もう逢いたくないの…琉汰が私の傍に居るだけで…私は、琉汰に嫉妬してしまうわ…琉汰は、綺麗なものを眼で見える…だけど、隣に居る私は…琉汰の言葉で想像して感じることしか出来ない…琉汰を嫌いになりたくないの!…このまま思い出として琉汰と別れたい…」
「…千冬…」

