「離して!離してよ!!…」

「…ご…めん…な…」

俺の腕の中で暴れる、千冬を俺は、ただ…抱きしめてあげることしか、できなかった…。

私は、包帯を取った時…目を開けているのに真っ暗な暗闇を見ていた。

何も見えない……ただ暗闇を見ているだけ……声は聞こえても……私の目の前に居る……琉汰の顔が……見えない……。

私は、琉汰の腕の中で孤独を感じた……。

琉汰を叩く手が、痛かった……。

『ごめんな』と、言った琉汰は、泣いていた。

俺達は、人目を気にせず抱きしめあったまま、二人で泣いていた。


俺と千冬は病院に戻った。

「千冬!!」

病室を入ると、おばちゃんが駆け寄ってきた。

「………」

「…休ませてあげてください」

俺は、おばちゃんに言った…おばちゃんは、千冬を見てから俺を見た。

「…琉汰…千冬に…」

「………」

「………」

俺は、おばちゃんを見ずにゆっくりと頷き、病室を出た。

琉汰が、病室を出ていった…。

お母さんは、私の左腕を掴み泣いていた。

「…一人に…して…」

私は、泣いているお母さんに言った。

「でも!…」

「いいから!一人にしてよ!」