おばちゃんは、俺に縋るように泣き崩れた。

 ――結婚式の前日――

「ねぇー!目を閉じて!」

千冬は、カーテンの向うで言った。

「何で?いいから早く見せろよ!」

「駄目よ!目を閉じて!」

「ったく!はい!目を閉じました!」

俺は、目を閉じ頭を床に下げた。

「まだよ!いいって言うまで、まだよ!」

「分かってるよ!」

カーテンを静かに開く音が、聞える……。

「……まだか?」

「まだよ……」

「……」

「良いわよ」

俺は、ゆっくりと目を開けた。

「あっ……」

俺は、目の前に立っているウェディング姿の千冬を見惚れていた。

「…ちょっと!?何とか言ってよ!?」

「あっ、あぁ…綺麗だ」

「綺麗過ぎてビックリしちゃった!?また惚れ直したかな!?」

千冬は、ちょっと首を傾けながら言った。

「バーカ!己惚れんな!」

「あっ!ひどいよー!」

千冬は、俺の肩を叩いた。
「痛!冗談だ!」

俺は千冬の手首を掴んだ。
「もぉー!、…私、綺麗?」

千冬は、俺を見つめ言った。

「…綺麗だ、綺麗だよ愛してる…幸せになろうな」

「うん!」

俺は千冬にキスをした。