俺は、港の見える丘公園を過ぎ、谷戸坂を下り谷戸橋を渡り、病院へと急いで走った。

【千冬!千冬!!】

首に巻いたネクタイを剥ぎ取り捨てた。

「はぁー!はぁー!はぁー!はぁー!、…千冬!」

病院へ着くと、一台の救急車が赤のランプが点いたまま停まっていた。

俺は、病院の中に駆け込み、俺と擦れ違った看護婦に声を掛けた。

「すいません!!今!救急車で運ばれてきた患者は!?」

「えっ?!」

看護婦は、分からないのか周りをキョロキョロとしていた。

「手術室!!手術室はどこだ!!」

俺は看護婦の腕を掴んだまま大きな声で叫んだ。

病院の中が、一瞬静まり返った。

「琉汰!!」

左を見ると兄貴が立っていた。

「兄貴!!千冬は!?」

俺は、兄貴の腕を強く掴み聞いた。

「俺も今、着たばかりだ!まだ何も分からない!!」

俺は兄貴と一緒に、手術室に向かって長い廊下を走った。

長い廊下の先には、赤のランプが光っていた、手術室前に着物を着た、千冬のおばちゃんが背中を丸め立っていた。

「おばちゃん!!」

振り向いた、おばちゃんの顔には、額にガーゼが付いていた。

「琉汰!!」