「お大事に~」



ありきたりの言葉しかいえなかったのに、マアコは私たちに嬉しそうに何度も手を振ってた。



大通りに向って坂を下ると、なんだかおとぎの世界から急に現実に引き戻されるような妙な感覚になる。


きっと、コマキもそんな気分だったんだろう。



「マアコちゃん・・・・・・元気になるといいね」



ってぼそっ、と誰に言うでもなしにつぶやいた。



うん・・・・。


普段当たり前のように学校に行って、友達と遊んで・・・・そんな生活を繰り返してる私たちは、想像もしてなかった。


同じ年の子が、必死に病気に向き合ってる姿を見て・・・ショックだったんだ。



と、同時に・・・・


瑞貴やユウは、マアコの病気がわかった中学生の頃から、こんな気持ちをずっと持ち続けてたんだな、と少し気が重くなった。



病気で苦しんでる本人はもちろんだけど、周りで支える人たちも・・・きっと、いろんな苦労があるはずで・・・。



私は今さらながら、夏祭りにしたユウへの質問を後悔していた。




『私が死んだらどうする?』



・・・なんて・・・・本当に最悪だ。


ユウが怒るのは今さらながら当たり前だと思ったし、嫌われるのも当然のことだと、思われた。