びいだま


ユウ。



私の中にいつもあった彼の姿。



近づく足音に、心の中で何度もなんども問いかけた。



夢じゃ・・・・ないんだよね。





「果歩」


「バカっ!」



両手を覆ったままで叫ぶ私の声に、戸惑ったように足音が止まったのがわかった。



「バカ・・・ユウのバカ・・・・・」




てのひらの間から、涙が流れて、


言葉がかすれて、



本当に・・・・夢でもなく・・・幻でもなく。



「果歩・・・・・」


「・・・・」


「抱きしめても・・・・・いいですか?」



もう、ダメ。



ゆっくり手を下ろしながら、こく、とうなずいた瞬間に。



私の体は引き寄せられ、頬はすぐにユウの胸の体温を感じるんだ。