「って･････あれ？」
ユウは首をかしげて不思議そうな顔をしてから、視線をさまよわせた。
「俺、これ言ったことがあった？」
「･･･････」
「あれ？どこでだっけ？誰に･･･？」
さっきのユウの言葉が胸にこびりついてる。
だから、私は笑って見せたんだ。
「初めてだよ。そんな風に見えたの？･････うれしいな」
「･･･だよな？うん。瑞貴はいい奴だよ。もてるけど、一途なんだよ、てか、頑固、って言ったほうがいいかも」
「････うん」
今のユウを苦しめないためなら、私は何度もウソをつくよ。
全部、「初めて」にするから。
そして、苦しめないためなら、私は････私が出来ることがあるとすれば･･･
ぎりぎりのとこでやっと口にすることが出来た言葉。
「じゃぁね････バイバイ。悠司くん」
そして、私が最後に見たのはマアコの方を見て片手をあげてみせた彼の背中だった。
バイバイ････。
ホントは、言いたくなんか･････なかったよ。
