コマキは大きく息を吐いてユウの顔をまじまじと見つめた。



「コマキ・・・・?」



「もったいなーい、って思ってさ。垣っち、学校でもメガネとってこの前みたいにへんしーん!しちゃえばいいじゃん。すごい人気だったんだよ?黒王子」


黒王子て・・・。


なんだ、そのネーミングって、思うけど・・・。


けれど、あの文化祭が終わってから一緒にいた瑞貴や私達に、あれは誰だったのか、って聞いてくる人が多かったって・・・・そんな後日談もあるくらい。


でも肝心のユウ自身が学校で今までどおりに過ごしてるから、「黒王子」が再び現れるわけもなく、噂は徐々に落ち着いてきてるんだけどね。



「・・・・・・しねーよ」



ユウはメガネを人差し指でちょっとあげてからくすっ、と笑った。



「めんどくせーし・・・それに俺はひとりでいーもん」



ユウ・・・・



「あー、やめやめ!すんげーあほらしーし!せっかくのパーティなのに~、変なこと聞いちゃったよ~!早く瑞貴来ないかなぁ~・・・!」



そわそわしはじめたコマキを見て私たちは顔を見合わせてようやく笑いあった。