びいだま


「ごめんなさい。ちょっと・・・・」



そう言って部屋の外に出ると、やっと濃い空気が肺に流れ込むような気がした。



大きく息をついて、さて、これからどうしよう、って思う。



私、やっぱりムリ。



しばらく、ここで・・・・待ってようかな・・・。



廊下にそなえられたベンチに座ると、外の声が遠くに聞こえる。



そういえば、ユウと瑞貴は、何か用事があるから、って午後からお店にあわせてくる、って行ってたなぁ・・・・。



最後の文化祭・・・・ユウと歩いてみたかったな・・・。



「カホちゃんっ」


「あ・・・・」


「なかなか帰ってこないから、どうかしたのかと思ったよ」


ってポスッと私の隣に座るのはさっきの男の人。


反射的に少しだけ間をじりじりと空けながら、「すみませ~~ん」って笑ってみせた。


確かに、今風で、かっこいいんだけど・・・・なんかが違うんだよね・・・。