サルビア

「そっか、そんで何かあったん?
揉めてたみたいやけど…」

「ハァーッ…」

エリはさっきよりも、深い溜息をついた。

一体、何があったん…?

心配な顔で、あたしはエリを見つめた。

「今から言う事、ショックかも知れへんで?」

思いつめた顔で、エリはあたしを見つめ返した。

あたしは黙って、コクリと頷いた。


「あんな…」


エリは覚悟を決めたのか、ゆっくりと話し出した。

「おかんな、シャブ中やねん。
おとんと離婚してから、かなりノイローゼ気味やってんけど。
それでもあたしと生活していく為に、おかんも風俗しとったんやん。
しんどかったんやろうなぁ」

エリは遠い目をしながら、話し続ける。

「あたしも小さい頃は、そんな事気付きもせんかったで?
でもな、だんだん分かってくるやん?
そんで、あたしが分かってるっておかんも分かったんかな。
それからは、おかんはあたしを責めるようになってん。
あたしを身ごもってる時に、浮気されたとか。
あたしがおるから、風俗しな生活出来やんとか。
それがストレスで、こんな風になってんとか。
あたしはやり切れんかって、中学から、めっちゃ荒れてもうて…」