そんなあたしに気付いたのか、エリがトイレに立った時に、涼があたしの隣に座った。

「朝日、ごめんな」

「…」

「あいつな、前から情緒不安定なとこあったけど、手首切るとかは、マジで初めてやねん。
別に、エリが好きとかちゃうから。
なっ、分かって?」

「…」

「今度また、埋め合わせするから!」

「…」

黙りこくるあたしに、涼は困った顔をして、最後に、「俺はエリよりも、お前の方が好きやで」と言った。

そして間もなく、エリが戻って来た。


あたしの方が好きなら、今日はあたしとおって?

エリを心配するのはいい。

でもエリを抱かんといて?

涼が女癖が悪いんは知ってる。

あたし以外にも、抱いてる女がいるんも知ってる。

でもそれはいいから。

エリだけはやめて?

なぁ、涼、あたしを助けて…

このままじゃあたし、エリが大嫌いになる…


そんな事を言えるはずもなく、お店は終わった。

あたしはさっさとお店を後にした。

家に帰ってからも、涼とエリが今何してるんやろうって考えると、気が狂いそうやった。