サルビア

お店の下に到着し、エリが涼に電話をかけた。

すぐに涼が降りて来た。

「お前ら服お揃いやん!」

そう、あたし達は服を買った時に、嬉しくてすぐさま着替えていたのだ。


そしてお店に入り、普通に3人で話していた。

やっぱりエリと一緒に来ると、涼はエリの方に優しい気がして、あたしの気分は少しずつ沈んでいく。


その時、涼がエリの手を掴んで、「お前…何やねん、これ!?」と怒鳴った。

「離してよっ!」

涼の手を振り払って、エリはうつむいた。

涼は黙って、あたしの目を見た。

あたしも気まずくなって、うつむいてしまった。

「朝日は知ってたんか?」

「…」

涼はエリの手を、もう1度掴んで、「お前、ちょっと来い!」と、エリを引っ張って立ち上がらせた。

そのままエリは涼に連れられ、お店の外に2人で消えて行った。


1人ポツンと残された席で、なかなか戻って来ない2人を待った。

おそらくお店の非常階段かどこかで、話しているんだろう。

昨日あんなにも、エリを大切にしようって思ってたのに…

さっきまでは、エリをかわいい妹やって思ってたのに…

あたしは心の狭い人間なんやろうか?

涼と消えたエリに、沸々と苛立ちを覚えた…