「いいよ、もう。
ただあたしはｴﾘが、おらんくなったら悲しいから。
それだけは分かって？」

「ほんまに、朝日はあたしを好き…？」

「好きやで。
何でそんなに聞くん？
嫌いに見える？」

「嫌いに…見える訳じゃない…
ただ、あたしが好きな人は、みんなあたしから、離れて行くから…」


そう言って、ｴﾘはまたすごく不安そうな顔をした。

「離れへんよ！」

あたしはｴﾘの体を、ﾎﾟﾝﾎﾟﾝｯてした。

「うっ…」

ｴﾘは泣き出した。

初めて見た、ｴﾘの涙だった。


「朝日…
あたし、あたし…
本間は朝日がお姉ちゃんって事、最初から知っててん…うっ…」

「うん」

優しく頷いて、ｴﾘの背中をさすった。


意外にも、あたしはもう、冷静だった。


「あたしはおかんから、1こ上の、朝日って名前の、お姉ちゃんがおるって事、聞いてたから…うっ…
朝日がﾐﾅﾐで働いてるって知って、どうしても会いたくって…うっ…
あたしはずっと、朝日に会いたかった…うっ…」

「あたしも会えて、嬉しかったで？」

「ほんまに？ほんまに？」

「うん！」