その時、看護婦さんが入って来て、「高宮さんの、お姉さん?ちょっと来てくれる?」と、あたしを見て言った。

「えっ?」

「その子今は動かれへんから、代わりにお金の事とか、話するから!」

そんなあたし達を見て、エリは「やっぱりおかんは来ーへんねんな…」と、諦めたような、悲しい顔で呟いた。

看護婦はエリに言った。

「夜も遅いし、お母さんは電話に出なかったの。
お姉さんに話していいやんな?」


エリはハァーッと、1つ大きな溜息をついて、あたしを見て笑顔で言った。

「朝日、悪いけど、代わりに話聞いて来て?」

「う、うん…」

そのままあたしは、看護婦さんに部屋の外まで連れ出された。


エリの母親…

そう、あたしの母親でもある、女の人の事を考えながら。