そんなエリに、あたしが「エリは立派やね」って、言った時の事。


その日は家で、2人で飲んでいた。

エリは人前ではひたすら明るくて、自分の事は全く喋らない。

あたしがこの家に来て半月ほど経った頃、エリは少しずつやけど、自分の事を打ち明けてくれるようになっていた。


あたしの言った言葉に、エリはこう言った。

「立派ちゃうよ。冷めてるだけ。
それだけ周りに、期待なんかしてないから…」


すごく淋しそうな目をして、エリは言った。

「どういう事…?」

恐る恐る聞いた。


エリは自分の生い立ちを、ゆっくりゆっくり話し出した。

エリは母と2人暮らしで、父の顔は知らないらしい。

あたしと一緒やん?

そう思いながらも、黙って聞いた。

父の浮気が原因で、離婚となってからの母はノイローゼ気味で、未だにしっかりはしてないらしい。