サルビア

そう言ってあたし達は、ご飯を食べながら話した。

「何でホストなろう思ったん?」

「金と女が好きやから」

あたしの唐突な質問に、涼はあっさり答えた。


「朝日は何で、キャバしよう思たん?」

「人生おもんなかったから」

「なるほど!」と言って、涼は笑った。


あたしは小さい頃から、色んな事に我慢して、生きて来た。

父の選ぶ、ダサイ服を来て、父が駄目だと言う事は、全部守った。

父が「服買うてきたで!」って、嬉しそうに言うから。

「そんなダサイ服着たくない!」なんて、口がさけても言えなかった。


中学の時、あたしはヤンキーに憧れた。

1度校則では白と決まっている靴下を、黒のを履いて行った。

その日中学から家に電話があった。

今でもその時の、父の悲しそうな顔は、忘れられない。

あたしはヤンキーになるのを、諦めた。